オスグッド
・成長痛

オスグッド・成長痛は正確には異なる症状といわれており、オスグッドは筋肉が骨を引っ張ることで生じる骨の痛み、成長痛は骨が筋肉を引っ張ることにより生じる筋肉の痛みだと考えられています。

ただ、いずれも成長期の子どもにみられる膝の症状であり、次のようなことが原因で起こると考えられています。

●骨の成長に筋力が追いつかない

成長期の子ども（小学校高学年～中学生）は、身体が成長段階であるため、短期間で急激に身長が伸びることがあります。
その際、骨と筋肉の成長バランスが崩れることで、オスグッド・成長痛を発症すると考えられています。
身長が伸びる際、脚の骨の成長に太ももの筋肉の成長が追いつかず、筋肉への負担が増えるため痛みを生じるといわれています。

●筋肉の柔軟性の低下

膝を動かす際には太ももの筋肉が働きますが、日ごろの運動や疲労の蓄積などが原因で太ももの筋肉の柔軟性が低下してしまうと、オスグッドや成長痛を起こしやすくなります。

・疲労
・過度な練習
・ケア不足

筋肉の柔軟性が低下している場合、筋収縮を起こした際に筋の付着部に牽引力が加わりやすくなります。
柔軟性が低下した状態で膝の曲げ伸ばしを繰り返すと、筋肉や付着部の骨に負担がかかり、オスグッド・成長痛を発症すると考えられます。

成長期の子どもは骨がまだ固まっていないため、筋肉に引っ張られることで、炎症や剥離を起こしてしまうのです。

●腰の硬さ

腰の筋肉が硬くなっている場合、連動して下肢の動きも悪くなってきます。
すると、太ももの筋肉に負担がかかってきて、オスグッド・成長痛につながることが考えられます。

●フォームが悪い

正しいフォームで身体を動かせていないと、ひとつひとつの動作で膝に負担をかけてしまうため、オスグッド・成長痛を引き起こしやすくなります。

オスグッド・成長痛を発症すると、運動時だけではなく、安静時にも痛みを生じることがあります。

●膝のお皿の下の痛み

オスグッドを発症すると、大腿四頭筋（太ももの前側の筋肉）が付着する脛骨粗面（けいこつそめん）に痛みを生じることがあります。
脛骨粗面は膝のお皿の下にある、骨の出っ張った部分のことです。
成長痛の場合は、膝だけではなく、ふくらはぎや足の関節、太もも、すねなどにも痛みが生じる場合があります。

・オスグッド：筋肉が骨を引っ張る痛み
・成長痛：骨が筋肉を引っ張る痛み

オスグッドの場合、太ももの筋肉の使いすぎや緊張によって、付着部である脛骨粗面を繰り返し引っ張ることで痛みを生じると考えられます。
一方、成長痛は骨の成長によって、大腿四頭筋が引っ張られることで付着部に痛みを生じるといわれます。

●身体を動かすことでの痛み

オスグッド・成長痛は、スポーツをしている子どもに発症しやすく、その多くは小・中学生だといわれています。
クラブ活動や部活動などで激しい練習を繰り返すことが原因となり、運動中に膝の痛みを訴えるケースが多くなっています。
また、なかには安静にしているときでも痛みを生じる場合があるため、無理をしないことが重要です。

・オスグッド：筋肉の緊張が強く、何もしていないときでも痛みを生じることが多いためケアが必要
・成長痛：身体の成長に合わせて痛みは消失していく
・安静にすることでも痛みが落ち着くとされる

オスグッドと成長痛は痛みの原因が異なるため、症状をしっかりと見極めることが重要といわれています。
オスグッドの場合、ケアを怠ると状態を悪化させる可能性があるため「成長痛の一種だからいずれ改善する」と軽視しないようにしましょう。

●アイシング

膝下部分に熱っぽさがあれば、氷水を当ててアイシングしましょう。
冷却することで、炎症を抑える効果が期待できます。

また、できるだけ患部を動かさず安静にすることも大切です。
痛みがあらわれたら無理に運動をつづけず、身体を休ませることをおすすめします。

●ストレッチ

患部に炎症がみられない場合は太もものストレッチを行い、筋肉の緊張を緩和させましょう。
ストレッチは、太ももの前側（大腿四頭筋）と後ろ側（ハムストリングス）に行うことをおすすめします。

・大腿四頭筋のストレッチ：立った状態（うつ伏せでも可）で片方の膝を曲げて足首を掴み、かかとがお尻につくように曲げていく
・ハムストリングスのストレッチ：立った状態（足を伸ばして座った状態でも可）で足を揃え、膝を伸ばしたまま身体を前に倒していく

上記のような太もものストレッチを行い、筋肉の柔軟性を高めましょう。
また、腰の硬さから下肢の筋肉に負担をかけることがあるため、上記のストレッチにあわせて腰のストレッチも行いましょう。

・腰のストレッチ：仰向けの状態で膝を立て、両膝を揃えたまま下半身を左右に倒す

・大腿四頭筋のストレッチ：立った状態（うつ伏せでも可）で片方の膝を曲げて足首を掴み、かかとがお尻につくように曲げていく
・ハムストリングスのストレッチ：立った状態（足を伸ばして座った状態でも可）で足を揃え、膝を伸ばしたまま身体を前に倒していく
・腰のストレッチ：仰向けの状態で膝を立て、両膝を揃えたまま下半身を左右に倒す

運動中のほか、運動後や入浴後の身体が温まっている状態でストレッチを行うと、より高い効果を得られるためおすすめです。

※膝の強い痛みや炎症がみられる場合には、無理に動かさないよう注意してください。

●膝のトレーニング

下半身のセルフケアの方法として、三ツ境やわらか整骨院で行っている関節トレーニングの一部をご紹介いたします。

①椅子に身体をまっすぐにして座り、腕を外回しして手のひらを外に向けたまま肘と股関節を近づけます。
このとき、脇腹に力が入っていることを確認してください。

②仰向けに寝て、足の裏を合わせたまま股関節と膝を曲げます。
このとき、下腹部の奥に力が入っていることを確認してください。

③仰向けに寝て膝を立て、つま先を少し内側に向けそのままお尻を持ち上げます。
このとき、内ももに力が入っているかを確認してください。

各動作10秒を5回くらい、できるだけ大きい動作で行うとより効果が期待できます。

※無理なトレーニングは症状を悪化させる場合があるため、痛みのない範囲で取り組むことが大切です。
また、こちらの関節トレーニングは症状によって方法が異なります。
そのため、三ツ境やわらか整骨院では患者様の状態に適したトレーニング方法をご紹介しております。
誤ったセルフケアを続けることも、症状の悪化につながることがありますので、ご自身の状態に適したトレーニング方法を知りたい方はぜひ一度当院にご相談ください。

当院では、一般的な痛みに対するアプローチのほかに、ランニングフォームやシューズの確認も行います。
患部に負荷がかかりやすい動作やくせがないかをチェックし、またそれらを改善することで再発の予防を図ります。

カウンセリング後に患部を目視や触察により観察し、痛みが発現する姿勢や動作を確認します。
※この時、オスグッドの可能性がある場合には、提携している医療機関を紹介しレントゲン検査をお願いする場合がございます※

急性期には、疼痛緩和のために固定や圧迫により安静の保持を行います。
状況次第で、患部周辺の腫脹を軽減するための手技療法・超音波療法・マイクロカレント療法が効果的です。

慢性期に移行しましたら、早期回復のために血行を促していきます。
関節が固まることを予防するための手技療法・超音波療法・マイクロカレント療法・温熱療法が効果的です。

一日も早く受傷前と同様の生活が送れるように、また競技のパフォーマンスを回復させるために、筋肉を軟らかくする緩消法、関節を安定させてより強い負荷に耐えられる身体を作る関節トレーニングは大変効果的です。

運動量を上げていく段階では、テーピングおよび関節トレーニングにより患部の負担軽減を図ります。
また、ランナーさんはランニングフォームの修正も大変効果的です。